BM700(or BM800)の動作について考えてみた
この記事は概ね下記ページの翻訳である。
Basic FET Circuits for Mics
BM700って何
大体1500円くらいで買える中華安物マイク。BM800もマイナーチェンジらしく回路は同一らしい。
国内外を問わず「安物マイクだが改造すると音が良くなる」という事で、一部のキモ・オタクから人気の製品だ。
ところが回路の意味がイマイチ分からず、結局日本語でそれらしい解説をしてる記事がなかったので備忘録がてら記事にする。
そもそもの課題は何か
何故たかだかマイク一つにこんな苦労をするかと言うと、「一般に使われるマイクプリアンプは最近主流のエレクトレットコンデンサマイク(以下ECM)用にできてない」からだ。
マイクには「ダイナミック」「コンデンサ」「エレクトレットコンデンサ」の3種類が存在し、入力機器側もそれぞれ「Hi-Z入力」「ファンタムありのXLR」「プラグインパワー」と対応している。
ECMは元々廉価で小規模なプラグインパワーでの動作を想定されており、うっかり高音質なECMが時代の流れでできちゃったもんだから、
「本来コンデンサマイク用のファンタム電源しか無い録音機材業界で、なんとかECMを駆動させたい」という需要ができたわけだ。
極端な話、高品質なプラグインパワー端子がオーディオインターフェースに乗っかっていれば、こんな悩みも無いのだが、そういうわけにはいかんので「ECM←→XLRファンタム変換回路」が必要になる。
今回扱う回路もそんな回路の一種だ。
Shoeps Circuit
まずBM700の回路について考える前に、Shoeps回路と呼ばれる、XLR接続・ファンタム電源印加でECMを駆動させる回路について考えよう。
先程の翻訳元のページから、下記回路図を拝借した。これがShoeps回路の基礎である。
大まかな流れとしては、
0.XLRからやってきた48Vから上手いこと電流を引き出す(赤枠)
1.マイクカプセルの出力はカスなので初段増幅(青枠)
2.XLRは2つの端子に逆相で信号を乗せないといけないので信号を変換(緑枠の部分)
といった感じ。で、一番わけがわかんねぇのは緑の部分、PNPトランジスタが2つ並んでいるやつだ。
共通部分から電流を取り出すところや、逆相を増幅するところは一見差動増幅回路のようだが、これは差動増幅回路ではない。
なんなら厳密なバランス回路でもない。多分。
いざBM800へ
正直BM800の回路に関しては、下記ページが最もわかりやすく充実しているので、最早今更言うことがない。
エレクトレット・コンデンサ・マイクBM-800の改良
若干補足すると、回路の全体像は概ねShoeps回路そのもの。ただし電源の特性を改善する為ツェナー+レギュレータ回路を採用している。
またHOT・COLDの直後に22nFと47Ωの抵抗がぶっ刺さっているが、これはノイズを改善するためのものらしい。
上記ページからリンクが貼られているが、防振など物理的な改善に関してはいつものパナ改の方が記事を上げている。
1603 :Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造(第1編) | ShinさんのPA工作室
今後の課題
秋月で売ってるイサハヤのPch JfetでPNPトランジスタ置き換えて、自前のShoeps回路組んでみたい。でもまだ回路理解しきれてない。