落胆がらくた街

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ファンタム式アクティブDIを作った

パナ改をギターに応用し、ギターとA/Iを直でつないで録音できる機材を作成した。
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ファンタム電源を搭載したインターフェースであれば、廉価に高音質な録音ができる。
回路はパナ改同様コネクタの中にしまいこんだので、取り回しも楽勝だ。
オーディオインターフェースにはハイインピーダンスな楽器を繋ぐためのHi-Z入力が用意されているが、何分そいつの出来が宜しくないときなんかに活躍するぞ。

要件

  • ファンタムのみで動作する
  • 安く作れる
  • ローノイズ

これを必須要件とした。外部電源の類が嫌いなのでファンタムオンリーで行きたいし、音さえ綺麗に取れりゃ後はソフトでどうにでも加工できるのでノイズさえ乗らなきゃ文句はない。後は恒例の「なるべく安く」だ。

回路

ギターのピックアップはクソ高インピーダンスであること以外至って普通の交流電圧源だ。よって条件反射的にソースフォロワでインピーダンス変換を行う。次段で利得稼いでファンタムに重畳。発想としては、「パナ改」におけるマイクカプセル(高インピーダンスの電圧源であるECMとJ-fetのセット)をギターのPUと自前のJ-fetに置き換えただけと言える。
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各素子の選定基準は以下の通り。

まず2sk303だがこいつは「ローノイズを謳うN-ch JFET」ならはっきり言ってなんでもいい。余ってたから使った。一応ソースフォロワでインピーダンス変換を行うためのものなので、
1. ローノイズ品である
2. IdSSと増幅率がなるべく低い
あたりが狙いになるかな?

一方差動増幅に使われている2つのJ-fet、2sk2881はそれなりに重要だ。これのIdSSとR2をかけた値が大体2sk303の電源電圧になる。R2はある程度大きい抵抗にしたいところなので、IdSSはなるべく小さい方が良い。そしてファンタム電圧を直で受けるので、耐圧は50V以上が必須だ。IdSSが4mA前後で50V耐える2sk2881は良い選択肢だろう。

次に素子の定数。
R1はソースフォロワに使う抵抗で、正直かなりどうでもいい。ソースフォロワの抵抗は出力インピーダンスとダイナミックレンジに関係するが、ギターのピックアップなんてピークが1Vあるかも怪しいし、ソースフォロワの次段はR3なのでこいつより下なら十分だ。本当は1kとか2.2kにした方が良かったんだが、机の上に転がってたので300にした。
R2は前述の通り差動増幅に定電流を流すための抵抗で、なるべく大きく、かつ2sk2881のIdSS=4[mA]とかけた値が2~10程度になってほしいので、1kにした。本当はもっとあっても良かったと思う。
R3は0.033uFのコンデンサと並んでハイパスフィルタを形成するが、直流成分ギリギリくらいをカットしてくれればいいと思ったので100kと並べてカットオフ75Hzにしてみた。本当はもっと低くても良かったとやってから思ったのが反省点だが、コンデンサがこれしか余ってなかった…。

完走した感想

S/N比は上がった(ノーマライズしたときの無音部分のレベルがHi-Zより低い)けど音そのものが良くなるとかはなかった 音声は後日上げる 当初の目標は達成できました